第1話
街路樹のイチョウも散り冬の気配が近づく頃……
「テキーラサンライズ」
リュウジがそう言うとバーテンは軽くうなずき馴れた手つきでカクテルを作り始めた。
リュウジ「なんか楽しいことないかなぁ。そろそろパー券まわせねーから金も欲しいし。彼女も欲しいし。」
カズ「そりゃ飲み会やるしかないっしょ?」
リュウジ「へ?」
カズ「金も入るし、女も見つかるじゃん。おれいつも幹事やって儲けてるべ。」
リュウジ「そっか、あちーね!でも去年のクリスマスにシーナ達と開いた飲み会すげー楽しかったけど赤字だったんだよね。」
カズ「別に居酒屋でやらなくてもカラオケでよくね?」
リュウジ「そやね。人たくさん集めるのめんどくせーからコンパとかどうよ?」
カズ「おっ、あちーね!でも女集めれねーからなぁ。」
リュウジ「そっか、じゃあ女はおれがなんとかするよ。」
カズ「まじで?お前微妙なとこでつれ多いよな。
実はこないだお前が紹介してくれたコンパかなりアツくてタクヤとバトったんだよな。」
リュウジ「マジで?あのときはあんま興味なかったからなぁ……おっトランス。っあ〜〜踊りてぇ〜!とりあえずウォッカかテキーラどうよ?」
カズ「いいねぇ!けどナオちゃんのバッグあるからなぁ。」
リュウジ「そっかぁ、じゃあおれ一人で踊ってこようかな。」
カズ「おう。」
リュウジ「つーかぁ、かなり後悔。家で寝てたほうがよっぽどマシ。」
カズ「間違いねぇ。」
リュウジ「はぁ、こんなことの為になんでおれが8千も自腹こいてやってんだろ。」
カズ「ミチの奴彼女いるくせに抜け駆けするしよぉ。」
リュウジ「おれらって何の為にいるわけ?女紹介してやって金払ってやってヤリ場所も作ってやって。まじうぜえ。」
カズ「だな。ブチ切れだっつーの。おれらはピエロかよ!」
カズはそう言いながらそこら中の物に当たり散らしている。
リュウジ「そういえば、女たち戻ってこなかったじゃん?なんかもめてるらしい。」
カズ「なんで?」
リュウジ「……カズちゃんには言うけどさ、なんかあのタツヤとくっついた子以外みんなオレ狙いらしい。」
カズ「は?マジで?なんで知ってんの?」
リュウジ「さっき呼ばれてなんで戻ってこないのか聞いたら教えてくれた。」
カズ「で、なんて答えた?」
リュウジ「とりあえず、それはうれしいしおれも気に入ってる子いるけどみんなに悪いからおれから選ぶ気はない。って言ったよ。」
カズ「まじかぁ。つーかお前おいしすぎるって!」
リュウジ「いや、あんまうれしくないし。ちなみにメールも入ってきた。」
カズ「うわっホントだ!確かに嬉しくないけど、お前マジでおいしすぎ!」
リュウジ「はぁ、おれ興味ない女にはやたら好かれるんだよね……
こっち来る前にもつれに後輩で気に入ってる子がいるからとかで呼ばれてさぁ。」
カズ「なんだよ!なにげにイケイケじゃん!」
リュウジ「でもオレはカズちゃんとか来てくれた奴に悪いから抜け駆けする気はないから安心していいよ。」
カズ「やっぱお前とつれでよかった。」
リュウジ(あ〜あ、あの子ちょっといいなって思ってたのになぁ
『どこ行った?女といるなら気にしなくていいよ!』
『ソファーで女と話してるよ。けど抜け駆けしないから安心してていいよん』
『友情を信じてる』
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